食品の消費税1%で飲食店はどうなる?
デリバリー・テイクアウトの価格と準備

この記事のポイント
- 食料品の消費税を2027年4月から2年間1%にする法案が、2026年10月9日に国会に提出されました。まだ審議中で、成立はしていません。
- テイクアウトとデリバリーは1%、店内飲食とお酒は10%のままです。店内との税率の差は、いまの2%から9%に広がります。
- 加盟店手数料や容器は10%のままです。デリバリーアプリの価格の切り替えも含めて、税込価格の方針を早めに決めておきましょう。
「食品の消費税が1%になるらしい。お店の価格はどうすればいいの?」最近、デリバリーに出店しているお店のオーナーから、こうした声を聞くようになりました。
結論から言うと、変わるのはテイクアウトとデリバリーです。店内で食べる料理は10%のままなので、同じ料理でも「どこで食べるか」で税率の差がいままでより大きく開きます。
この記事では、国税庁が公表したQ&Aと大手の報道で確認できたことだけを、日付と出典つきで整理します。そのうえで、デリバリーに出店しているお店ならではの注意点と、いまから準備できることをまとめます。
何が決まりそうなのか(2026年10月時点)
2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、食料品の消費税を8%から1%に下げる法案が、国会で審議されています。
- 1%持ち帰り・宅配
- 10%店内飲食・お酒
- 2年2027年4月〜2029年3月
政府は2026年9月15日に、食料品の消費税率を一時的に下げる大綱を閣議決定しました。続いて10月9日に関連する法案を閣議決定し、国会に提出しています。与党は、会期末の12月12日までに成立させることをめざしています(NHK・日本経済新聞、2026年10月26日確認)。
1%の内訳は、国の消費税0.78%と地方消費税0.22%です。2年間が終わると、2029年4月1日から8%に戻ります(国税庁Q&A、2026年10月26日確認)。
ここまでの流れと、これからの日付
大綱を閣議決定。国税庁が事業者向けのQ&Aを公表
法案を閣議決定し、国会に提出
今の国会の会期末。この日までの成立がめざされています
事情があれば、1%で計算した税込価格を先に表示できます(特例)
免税事業者が4月1日からインボイス発行事業者になる場合の、登録申請の期限の目安
食料品の税率が1%に。テイクアウトとデリバリーもここから
値札の貼り替えが間に合わないなどの事情があれば、8%の税込価格の表示が認められます(特例)
8%に戻ります。その前後にも、同じような表示の特例があります
この記事の内容は、法案が成立した場合のものです。国会での審議によって変わることがあります。国税庁のQ&Aにも「法案が国会に提出され、審議を経た上で可決・成立した場合のもの」と書かれています。
2027年4月に間に合うよう、デリバリー出店をお手伝いしますお店の場所と料理を伺い、出せるサービスをお調べします 相談してみる →1%になるもの、10%のままのもの
1%になるのは、いま8%の軽減税率がかかっているものと同じ範囲です。飲食店では、テイクアウトとデリバリーが1%、店内飲食とお酒は10%のままです。
| お店の売り方・お金の出入り | いま | 2027年4月から |
|---|---|---|
| テイクアウト(持ち帰り) | 8% | 1% |
| 出前・宅配(デリバリー) | 8% | 1% |
| 店内飲食(外食) | 10% | 10% |
| ケータリング・出張料理 | 10% | 10% |
| お酒(持ち帰り・デリバリーも) | 10% | 10% |
| 食材の仕入れ | 8% | 1% |
| 容器・包材・割りばしなどの仕入れ | 10% | 10% |
| デリバリー各社の加盟店手数料 | 10% | 10% |
デリバリーアプリの注文も、料理をお届けするものは「出前・宅配」に入ります。店内で食べるか持ち帰るかは、料理をお渡しするときに判定します。お客さまの意思を確かめて決める考え方は、いまの軽減税率と同じです。
表の下の3行は、お店がお金を払う側です。容器や加盟店手数料は飲食料品の販売に当たらないので、2027年4月以後も10%のままです。売上にかかる税は下がっても、デリバリーの経費にかかる税は下がりません。この点は、価格を考えるときに効いてきます。
2027年3月31日までに仕入れた食材は、4月1日以後に料理として売っても、仕入れの税率は8%のままです(国税庁Q&A 問1-3)。
デリバリーの価格の決め方、一緒に計算します加盟店手数料と容器代を入れて、利益が残るかを確かめます 相談してみる →税込価格はどう変わる?早見表と3つの決め方
本体価格を変えなければ、テイクアウトとデリバリーの税込価格は約6.5%下がります。下げるか、据え置くか、店内とそろえるかを、お店ごとに決めることになります。
| 本体価格 | 店内(10%) | 持ち帰り・デリバリー いま(8%) | 2027年4月から(1%) |
|---|---|---|---|
| 500円 | 550円 | 540円 | 505円 |
| 800円 | 880円 | 864円 | 808円 |
| 1,000円 | 1,100円 | 1,080円 | 1,010円 |
| 1,500円 | 1,650円 | 1,620円 | 1,515円 |
本体1,000円の料理なら、店内とデリバリーの差はいまの20円から90円に広がります。この差をどう扱うかで、決め方は大きく3つに分かれます。
決め方A:本体価格はそのまま(税込で下げる)
本体1,000円のまま、デリバリーの税込価格を1,080円から1,010円に下げる方法です。お客さまにとっては分かりやすい値下げになります。お店に残る本体価格は変わりません。
決め方B:税込価格はそのまま(本体を上げる)
税込1,080円をそのまま残す方法です。この場合、本体価格はおよそ1,069円になり、税が下がった分がお店の取り分に回ります。値札やメニュー写真の価格表示を変えずにすむ一方、「税率が下がったのに値段が同じ」と感じるお客さまもいます。
決め方C:店内と税込価格をそろえる
店内もデリバリーも税込1,100円にそろえる方法です。本体価格は、店内が1,000円、持ち帰り・デリバリーがおよそ1,089円になります。2019年に軽減税率が始まったときにも、この形を選んだお店がありました。メニュー表が1枚ですむのが利点です。
どれが正解ということはありません。大切なのは、加盟店手数料と容器代を引いたあとに、利益が残るかです。加盟店手数料は売上に対する割合でかかるので、税込価格を下げると、お店に残る金額も変わります。デリバリーの価格の考え方は、デリバリーメニューの価格設定の記事で詳しく取り上げています。
税込価格を表示するときは、税込の総額を表示する決まり(総額表示)があります。「本体○円+税」だけの表示は、2027年4月以後も認められません。総額表示は、店頭・チラシ・広告など、表示の媒体を問わないとされています(国税庁Q&A 問3-9)。
複数のアプリの価格の切り替えも、担当がお手伝いしますUber Eats・Rocket Now・出前館の掲載をまとめて見直せます 相談してみる →デリバリーアプリで見落としやすい4つのこと
デリバリーに出店しているお店は、店頭の値札よりも先に、アプリの価格と加盟店手数料を見直す必要があります。当社がお手伝いしているお店からも、ここを心配する声が多く届いています。
1. アプリのメニュー価格は、お店が登録した価格です
デリバリーアプリのメニュー価格は、お店が登録しています。税率が下がったときに、各社がアプリ上の価格を自動で変えるかどうかは、2026年10月26日時点の公式発表では触れられていません。Uber Eats・出前館・Rocket Now など複数のアプリに出しているお店は、どのアプリの価格をいつ変えるかを、一覧にしておくと安心です。
2. 加盟店手数料と容器代は10%のままです
先ほどの表のとおり、デリバリー各社に払う加盟店手数料と、容器・包材の消費税は10%のままです。料理の売上にかかる税だけが下がるので、決め方Aで税込価格を下げると、売上が下がるのに経費の税は変わらない形になります。価格を決める前に、1品ごとの利益を計算し直しておきましょう。
3. 「お店と同じ価格」で出しているお店は、基準の価格を確かめる
Rocket Now の公式ページでは「お店と同価格」の取り組みが案内されています(2026年10月26日確認)。店内と持ち帰りで税込価格が変わるお店では、どちらの価格に合わせるかが問題になります。この点について、各社の公式発表では触れられていません。参加しているお店は、各社からの案内を確かめてください。
4. お酒は10%のままです
デリバリーでビールやお酒を売っているお店は、料理とお酒で税率が分かれます。お酒は10%のままで、料理だけが1%になります。料理とお酒のセットメニューは、税率の分け方を税理士やレジの会社に確認しておきましょう。
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国税庁のQ&Aでは、税率の切り替えに合わせて、表示・申告・届出の特例が案内されています。お店に関係するかは状況によるので、顧問の税理士と確かめてください。
一般課税のお店:売上の割合で、納める税の動きが変わります
一般課税で申告しているお店は、売上にかかる税から、仕入れや経費にかかった税を引いて納めます。2027年4月からは、この差し引きの形が売上の割合によって変わります。
- テイクアウト・デリバリーが中心のお店:売上の税は1%に下がる一方、加盟店手数料・容器・包材の税は10%のままです。納める税が減り、場合によっては還付になることもあります
- 店内飲食が中心のお店:売上の税は10%のまま、食材の仕入れの税は1%に下がります。差し引ける税が減るので、納める税が増えることがあります
店内飲食のないデリバリー専門のお店は、料理の売上がすべて1%になります。早く還付を受けるために課税期間を短くする手続きも、国税庁のQ&Aで案内されています(問3-3)。
特例の一覧
- 価格表示の特例:値札の貼り替えが間に合わないなどの事情があり、お客さまが誤解しないための掲示をしている場合に限り、2027年4月1日〜5月31日は8%の税込価格の表示が認められます。2027年2月1日〜3月31日は、1%の税込価格を先に表示することもできます(問3-9)
- 簡易課税の計算の特例:簡易課税で申告するお店は、業種にかかわらず、1%の対象の売上にかかる税と同じ額を、仕入れの税として計上できます(問3-6)。テイクアウトやデリバリーの売上が多いお店ほど関係します
- 簡易課税をやめる届出の特例:2027年4月1日を含む課税期間中に届け出れば、その期間から一般課税で申告できます。簡易課税を2年続ける決まりも、このときは外されます(問1-1・問3-5)
- 免税事業者の届出の特例:仕入れの税が売上の税を上回り、還付を受けたい免税事業者は、2027年4月1日を含む課税期間中に届け出れば、その期間から課税事業者になれます(問3-1・問3-2)。インボイス発行事業者の登録で4月1日から課税事業者になる場合は、2027年3月17日までに登録申請書を出す方法も案内されています(問3-4)
- 中間申告の特例:売上の税が減って、前の年の税額で計算した中間申告が多くなりすぎる場合に、実際の取引をもとに申告できる方法があります(問3-8)
夜遅くまで営業しているお店は、日付の切り替えにも注意が必要です。毎日の売上を午前1時などで締めているお店は、4月1日の午前0時から締めの時間までの売上を、3月31日分として8%で計算してもよいとされています(問1-3)。
デリバリーのメニューと価格の整理から、一緒に進めます店頭のメニュー表があれば、ご相談いただけます 相談してみる →いまから2027年4月までにやること
いますぐ決める必要はありません。法案の行方を見ながら、時期ごとに準備を進めれば間に合います。
いま〜2026年12月(法案の審議中)
- テイクアウト・デリバリーの売上の割合を知る:店内とテイクアウト・デリバリーの売上を分けて見ておくと、影響の大きさが分かります
- メニューを一覧にする:店内・持ち帰り・各デリバリーアプリの価格を、1枚の表にまとめます
- 法案の行方を見る:成立しなければ、ここに書いた内容は変わります
2027年1月〜3月(成立した場合)
- 税込価格の方針を決める:決め方A・B・Cのどれにするかを、加盟店手数料と容器代を入れた利益で決めます
- レジ・注文システムの会社に確認する:1%への切り替えと、2029年4月の8%への戻しに対応できるかを聞いておきます
- 顧問の税理士に相談する:簡易課税や届出の特例が、お店に関係するかを確かめます
- デリバリー各社の案内を確かめる:アプリの価格の変え方と、切り替えの日の扱いを確認します
2027年4月1日以後
- 店頭とアプリの価格を切り替える:店頭の値札とメニュー表、すべてのアプリの価格を、決めた方針のとおりに変えます
- 最初のレシートとアプリの明細を確かめる:税率が正しく1%になっているかを、切り替えの直後に見ておきます
まとめ
食品の消費税1%は、まだ法案の段階です。成立すれば、2027年4月からの2年間、テイクアウトとデリバリーの税率は1%になり、店内飲食との差は9%に広がります。
デリバリーに出店しているお店は、アプリの価格の切り替えと、10%のままの加盟店手数料・容器代を入れた利益の計算が、準備の中心になります。これからデリバリーを始めるお店にとっては、税率が下がる2027年4月に向けて、いまのうちに出店の準備を進めておく選択肢もあります。
当社では、Uber Eats・Rocket Now・出前館の出店のご相談から、メニューと価格の登録、開店後の見直しまでを無料でサポートしています。価格の決め方に迷ったら、お気軽にご相談ください。
よくある質問
食品の消費税1%は、もう決まったことですか?
Uber Eats や Rocket Now の注文も1%になりますか?
加盟店手数料の消費税も下がりますか?
デリバリーアプリのメニュー価格は、4月1日に自動で変わりますか?
参考にした情報
- 国税庁「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」(令和8年9月) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0026008-127_qa.pdf(2026年10月26日確認)
- 財務省「片山財務大臣兼内閣府特命担当大臣臨時閣議後記者会見の概要(令和8年9月15日)」 https://www.mof.go.jp/public_relations/conference/my20260915.html(2026年10月26日確認)
- NHK「政府 食料品の消費税減税関連法案を国会に提出」(2026年10月9日) https://news.web.nhk/newsweb/na/nd-20261009de56958(2026年10月26日確認)
- 日本経済新聞「食品消費税1%へ法案閣議決定」(2026年10月9日) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA082SK0Y6A001C2000000/(2026年10月26日確認)
- Rocket Now「出店申請」 https://www.rocketnow.co.jp/merchant/(2026年10月26日確認)
- Uber Eats「料金」 https://merchants.ubereats.com/jp/ja/pricing/(2026年10月26日確認)

